限定承認の手続きと実際の流れ
春日部市の相続専門美馬克康司法書士・行政書士事務所
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メールはこちら限定承認は、相続人が「プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ」という仕組みです。しかし、単純承認や放棄のように簡単には済みません。
家庭裁判所への申立て、公告、債権者への対応など、いくつかの段階を踏む必要があります。ここでは、限定承認を選ぶときの実際の流れを順を追って解説します。
限定承認の申立て
限定承認を行うには、相続人全員が共同で家庭裁判所に申し立てる必要があります(民法923条)。相続人が複数いる場合、一人でも反対していると限定承認は成立しません。これは、遺産全体の処理を公平に行うためのルールです。
申立ての期限は、相続の開始を知ったときから3か月以内(熟慮期間)です。もし財産の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に「期間伸長の申立て」をして延長を認めてもらうことができます。
申立書には、以下のような書類を添付します。
- 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続財産の目録
- 申立人の印鑑証明書
- 手数料(収入印紙)と郵便切手
申立てを受けた家庭裁判所が内容を確認し、要件を満たしていれば「限定承認が受理」されます。この受理があって初めて、限定承認が効力を持ちます。
相続財産の調査と目録の作成
限定承認を申し立てる前後で重要なのが、相続財産の調査です。相続人は、被相続人の財産(プラス・マイナスの両方)を調べて、正確な目録を作成します。財産には、預貯金や不動産だけでなく、負債・連帯保証・クレジット契約・税金なども含まれます。
なかには被相続人名義の生命保険、未収入金、退職金など、見落としやすいものもあります。財産調査は、金融機関・法務局・税務署などに照会して行います。これを怠ると、後から「こんな借金があった」と判明した場合にトラブルになることもあります。
限定承認の公告と債権者への通知
限定承認が受理されると、相続人は「清算人」としての立場になります。この時点で、相続財産を使って債務を整理していく作業が始まります。
まず、家庭裁判所の指示に従って「官報公告」を行います。官報とは、国の公的な情報を掲載する新聞のようなもので、公告を出すことで「被相続人に対して債権を持つ人は申出てください」と周知します。債権者は公告の日から2か月以内に請求をしなければならず、これにより全体の債務額が確定していきます。
あわせて、判明している債権者や受遺者(遺言で財産をもらう人)には、個別に通知を出すことも義務づけられています。この通知を怠ると、後日追加請求を受けるおそれがあるため注意が必要です。
相続財産の換価と弁済
債権者からの請求が出そろったら、相続財産を整理し、現金化して債務を返済します。これを「換価」と呼びます。たとえば、不動産を売却したり、有価証券を現金化したりして、債権者へ配当します。
弁済の順序は法律で定められており、まずは葬儀費用や相続手続に直接必要な費用が優先され、その後に他の債権者へ公平に配分します。一部の債権者だけに特別に返済することはできません。清算の過程では、相続財産に含まれる不動産や動産の評価を行い、処分の記録を残します。すべての債務を返済しても財産が余った場合、その残額を相続人が取得することができます。
一方、全財産を使い切っても借金が残ったときは、相続人はそれ以上支払う必要はありません。これが限定承認の最大の安心点です。
残余財産の分配と終了
すべての債務を整理した後、残った財産があれば相続人で分けます。この時点で初めて遺産分割協議を行うことが可能になります。
ただし、単純承認のように自由に分けることはできず、清算の記録をもとに家庭裁判所の確認を受けながら進めるのが安全です。
清算が完了したら、裁判所に「清算報告書」を提出して手続きが終了します。ここまでを含めると、限定承認の手続きには数か月から半年程度かかるのが一般的です。
限定承認の実例と利用の傾向
限定承認は、制度としては古くから存在しますが、利用件数は多くありません。当事務所への相談も相続放棄の方が多いです。
理由のひとつは、手続きの煩雑さです。相続人全員の同意が必要であり、公告や清算、報告などを専門家の助けなしに行うのは容易ではありません。
一方で、事業を営んでいた被相続人や、財産の内容が複雑なケースでは、限定承認が非常に有効に機能します。たとえば、家業を継ぐ場合や、相続人の生活の拠点となる不動産を守りながら債務整理をしたいときなど、「破産させずに整理する方法」として選ばれることがあります。
限定承認を選ぶ際の注意点
限定承認を行う際は、次の点に気をつける必要があります。
- 相続人全員の同意が必要(一人だけでは申立てできない)
- 期限(3か月)を過ぎると自動的に単純承認になる
- 申立て後も、清算を怠るとトラブルに発展する
- 官報公告や債権者への通知を必ず行うこと
また、限定承認をしても、うっかり財産を個人的に使ってしまうと「法定単純承認」とみなされることもあります。このため、申立ての段階から専門家に相談しておくと安心です。
限定承認は、相続の「中間の選択肢」として非常に理にかなった制度ですが、正しい理解と丁寧な手続きが欠かせません。どんなときに使えるのか、どんな流れになるのかを知っておくことが、相続トラブルを避ける大きな助けになります。
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