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遺言でできること・できないこと

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はじめての相続《民法解説》遺言でできること・できないこと

遺言は、亡くなった後に自分の意思を実現するための重要な制度ですが、実は遺言でできることは法律である程度決められています。
つまり遺言には、遺言でしかできないことと、生前でもできるが遺言でもできることの2種類があるのです。

遺言でのみできること

まず、遺言によってのみ行うことができる事項があります。これは、生前に契約や合意によって行うことができず、遺言という形でしか指定できないものです。

未成年後見人の指定

未成年の子どもがいる場合、親が亡くなると、子どもの財産管理や身上監護を行う人として未成年後見人が必要になることがあります。民法では、親権者は遺言によって未成年後見人を指定することができるとされています。

これは、子どもの将来にとって非常に重要な制度です。遺言がなければ、家庭裁判所が後見人を選任することになりますが、遺言があれば、親の意思を尊重して後見人を決めることができます。

後見監督人の指定

未成年後見人が適切に職務を行っているかを監督する人として、「後見監督人」を指定することもできます。これも遺言でのみ行うことができる事項です。

相続分の指定

通常、相続人が複数いる場合、法律は法定相続分という割合を定めています。しかし、遺言があれば、その割合とは異なる分け方を指定することができます。
たとえば、「長男に預金の1/3、長女に預金の2/3を相続させる」などという内容を遺言で指定することができます。

遺産分割方法の指定

遺言では、遺産をどのように分けるかという具体的な分割方法を定めることもできます。
たとえば、「自宅は妻に、預金は妻と長男と長女とで分ける」などという内容で指定することができます。

また、遺言では第三者に分割方法の決定を委ねることも可能です。
さらに、遺言によって遺産分割を一定期間禁止することもできます。現在の法律では、相続開始から5年を超えない範囲で遺産分割を禁止することが可能とされています。

遺言執行者の指定

遺言では、この遺言執行者を指定することができます。遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実現する人のことです。遺言執行者は、不動産の名義変更や預金の解約など、遺言の内容を実現するための重要な役割を担います。そのため、専門家を指定しておくケースも少なくありません。

遺留分侵害額の負担方法の指定

遺言によって遺産の分け方を決めた場合でも、一定の相続人には遺留分という最低限の取り分が認められています。遺言では、この遺留分侵害額を誰が負担するかを指定することもできます。

生前でもできるが、遺言でもできること

生前でも行うことができますが、遺言によって行うこともできる事項があります。

子の認知

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもは、父親が認知することで法律上の親子関係が生じます。この認知は、遺言によって行うこともできます。
つまり、遺言によって子どもを認知することが可能です。

相続人の廃除

相続人が被相続人に対して著しい虐待や重大な侮辱をした場合などには、その人の相続権を失わせる相続人の廃除という制度があります。これは家庭裁判所の手続きが必要ですが、遺言によって廃除を求めることもできます。

財産の処分

遺言では、財産を特定の人に与えること(遺贈)もできます。遺言によって財産を第三者に与えることも可能です。

信託の設定

遺言によって信託を設定することもできます。これは遺言信託と呼ばれ、信託法によって認められている制度です。

祭祀承継者の指定

お墓や仏壇などの祭祀財産を誰が引き継ぐかについても、遺言で指定することができます。

民法が定める遺言の種類

遺言は、どのような形式でもよいわけではありません。民法は、遺言の方式を定めており、これに従っていない遺言は原則として無効になります。
法律が定める遺言の方式は、大きく次の2つに分かれます。

普通方式遺言

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が普通方式遺言です。

特別方式遺言

普通方式で作成できない遺言の場合の方式です。たとえば、死亡の危険が迫っている場合、船舶で遭難の危険がある場合、交通が遮断された隔離地域にいる場合などの緊急時に認められる特別な遺言方式です。

定められた方式で作成した遺言が有効とされる

遺言は、本人の意思を実現するための重要な制度ですが、法律の定める方式に従っていなければ無効になることがあります。

上述した、遺言でのみできる未成年後見人の指定や後見監督人の指定、相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺言執行者の指定、遺留分侵害額の負担方法の指定などを記しても、方式を誤れば遺言として成立しないため、すべて無駄になってしまうかもしれないのです。

さらに、遺言に記しても認められないことを書き残しても無駄になってしまうかもしれません。

遺言は、残された家族のトラブルを防ぐためにも大きな役割を果たします。正しい知識をもとに作成することで、遺言の効果を十分に発揮させることができます。

本記事作成美馬克康司法書士・行政書士

はじめての相続《民法解説》は、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。できるだけ最新の情報で掲載しておりますが、掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

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