遺言の撤回と新しい遺言の効力
春日部市の相続専門美馬克康司法書士・行政書士事務所
埼玉県越谷市千間台西1丁目12番地1ダイアパレスルネッサせんげん台506号
東武スカイツリーラインせんげん台駅 西口1分
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業時間8:30〜18:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
048-970-8046
メールはこちら遺言は、一度作成したら絶対に変更できないものではありません。実際には、前に書いた内容を見直したい、財産の内容が変わった、家族関係が変化した、相続人との関係が変わった、新たに不動産を取得したなどの理由から、あとになって遺言を書き直す方は少なくありません。
相続実務でも、前に書いた遺言と新しい遺言のどちらが有効なのか、古い遺言はどうなるのかという問題は非常によく出てきます。
遺言は、相続開始後に大きな法的効果を持つため、撤回や変更のルールを知っておくとよいでしょう。
遺言はいつでも撤回できる
民法1022条では、遺言者は、いつでも自由に遺言の全部または一部を撤回できると定めています。
民法1022条(遺言の撤回)
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
これは遺言制度の非常に重要な原則です。そもそも遺言は、遺言者が死亡した時に効力を生じるものです。つまり、生前の段階では、まだ法的効果は発生していません。
そのため、遺言者本人の意思が変われば、自由に内容を変更できると考えられています。
たとえば、「長男に自宅を相続させる」と書いたが、のちに考えが変わり配偶者に相続させたいと改めたという場合には、新しい遺言を作成して内容を変更することが可能です。
同じ方式でなくても撤回できる
ここで注意したいのは、前と同じ遺言方式でなくてもよいという点です。
たとえば、公正証書遺言を作成したが、新しく自筆証書遺言を書いたという場合でも、後の遺言が前の遺言と抵触していれば、前の遺言は撤回されたものと扱われます。
つまり、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、方式が異なっていても、後の遺言によって前の遺言を変更・撤回することは可能です。
新しい遺言があると前の遺言はどうなるのか
民法1023条では、前後の遺言内容が抵触する場合、その抵触する部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなすとされています。つまり、後の遺言が優先されるという考え方です。
民法1023条(前の遺言と後の遺言との抵触等)
1. 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2. 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
抵触する部分だけが撤回される
新しい遺言ができたからといって、前の遺言全部が消えるとは限りません。
たとえば、このような遺言が改められることになります。
第一の遺言
- Aに自宅不動産を相続させる
- Bに預金を相続させる
第二の遺言
- Cに預金を相続させる
という場合、自宅不動産については内容が変わっていません。
そのため、Aへの不動産相続部分はそのまま有効として、Bへの預金部分だけが撤回され、Cへの預金相続が有効というかたちになります。つまり、抵触した部分だけがのちの遺言によって変更されるのです。
「全部撤回」と書けば前の遺言は失効する
一方で、新しい遺言の中で、「以前の遺言をすべて撤回する」と明確に書かれている場合には、前の遺言全体が効力を失います。実務では、この文言を入れることも少なくありません。
特に複数の遺言が存在すると、相続人間で混乱が起きやすいためです。
もっとも、仮にこの文言がなくても、内容が明確に抵触していれば、その範囲では後の遺言が優先されます。
遺言書を破った場合はどうなるのか
民法1024条では、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合、その破棄した部分について撤回したものとみなすとされています。
民法1024条(遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
たとえば、自筆証書遺言を破り捨てた、内容を読めないほど塗りつぶした、焼却したというような場合です。ただし重要なのは、故意であることです。
偶然汚れてしまったとか、誤って一部が破れたという程度では、直ちに撤回にはなりません。
公正証書遺言を破った場合
ここは一般の方が誤解しやすいところです。公正証書遺言の場合、遺言者が手元に持っているのは通常正本や謄本です。しかし、原本は公証役場に保管されています。そのため、手元の正本を破っても、それだけでは公正証書遺言を撤回したことにはなりません。
実務上は、新たな遺言を作る、内容を抵触させる、正式な撤回を行うなどの対応が必要になります。
遺贈する財産を処分した場合
遺言書そのものを破棄しなくても、遺言の対象財産を処分した場合には、撤回とみなされることがあります。
たとえば、長女に別荘を遺贈すると遺言したが、生前にその別荘を売却したという場合です。
すでに財産が存在しない以上、その遺言内容は実現できません。そのため、法律上は、その部分について撤回したものと扱われます。
前の遺言は自動的には復活しない
第一の遺言
- Bに土地を遺贈する
第二の遺言
- 同じ土地をCに遺贈する
この時点で、第一の遺言は、第二の遺言によって撤回されたものと扱われます。
さらに、
第三の遺言
- Cへの遺贈を撤回する
とした場合、それなら最初のBへの遺言が復活するのではなく、民法1025条では撤回された前の遺言は当然には復活しないとされています。これは、権利関係が複雑になる、遺言者の最終意思が不明確になるという理由によります。
つまり、最初の遺言を生かしたいのであれば、改めてその内容を書き直す必要があります。
民法1025条(撤回された遺言の効力)
前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。
法務局保管制度があっても撤回はできる
現在は自筆証書遺言を法務局で保管できる制度がありますが、法務局に保管したからといって、遺言内容を固定されるわけではありません。
遺言者本人であれば、撤回、変更、新しい遺言の作成は可能です。
また、新たな遺言によって前の遺言と抵触すれば、法務局保管された遺言であっても、その範囲で効力に影響が生じます。
相続では最後の意思が重要
相続実務では、どの遺言が一番新しいのかが問題になることが少なくありません。
特に、自筆証書遺言が複数ある、公正証書遺言も存在する、内容が少しずつ違うというケースでは、相続人間で争いになることがあります。
そのため、遺言を見直した場合には、日付を明確にする、前の遺言との関係を整理する、撤回の意思をはっきり記載することが非常に重要です。
遺言は、書いたら終わりではありません。相続を本当に円滑に進めるためには、最後にどの意思を残すのかまで整理しておかなければなりません。
はじめての相続《民法解説》は、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。できるだけ最新の情報で掲載しておりますが、掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

- 埼玉県越谷市千間台西1丁目12番地1
ダイアパレスルネッサせんげん台506号
せんげん台駅西口1分 - 初回 相続相談 30分無料
- 048-970-8046
- 8:30〜18:30土日祝営業
- メールのお問い合わせ



