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相続を考えた公正証書遺言

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はじめての相続《民法解説》相続を考えた公正証書遺言

相続を考えたとき、最も確実な方法として選ばれることが多いのが「公正証書遺言」です。遺言にはいくつかの種類がありますが、なかでも公正証書遺言は、法律上の要件を確実に満たしながら作成されるため、相続手続きを円滑に進めるうえで非常に有効な方法です。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思を確認し、その内容を公正証書として作成する遺言の方式です。遺言者は自分の意思を公証人に口頭で伝え、公証人がそれを文章にまとめます。その内容を遺言者と証人が確認し、署名押印することで遺言が完成します。

このとき、証人が2人以上立ち会うことが必要とされており、法律で定められた手続きに従って作成される点が特徴です。

民法969条
1. 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
  1. 証人2人以上の立会いがあること。
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
2. 前項の公正証書は、公証人法(明治41年法律第53号)の定めるところにより作成するものとする。
3. 第1項第1号の証人については、公証人法第30条に規定する証人とみなして、同法の規定(同法第35条第3項の規定を除く。)を適用する。

なぜ公正証書遺言が選ばれるのか

相続の現場で、公正証書遺言が選ばれる大きな理由は、確実性にあります。
自筆証書遺言の場合、形式の不備によって無効になるリスクがありますが、公正証書遺言は公証人が関与するため、そのようなリスクが大きく減ります。また、内容についても公証人が確認するため、法律上問題のある遺言になる可能性が低くなります。

相続は一度発生するとやり直しができないため、確実に有効な遺言を残すという点は非常に重要です。この点において、公正証書遺言は安心感のある方法といえます。

相続手続きがスムーズになるメリット

公正証書遺言の大きなメリットの一つが、相続手続きの負担を軽減できる点です。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、相続開始後に家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。しかし、公正証書遺言にはこの検認が不要です。そのため、遺言書をすぐに相続手続きに利用することができます。

また、公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。遺言書が見つからない、内容が書き換えられているといったトラブルを防ぐことができます。

内容の正確性とトラブル防止

相続では、不動産の記載や相続人の特定が曖昧だと、手続きが進まなくなることがあります。公正証書遺言では、公証人が内容を確認しながら作成するため、このような不備が生じにくいという特徴があります。

たとえば、不動産についても登記情報に基づいて正確に記載されるため、「どの不動産を指しているのかわからない」といった問題が起こりにくくなります。

また、遺言の内容についても、相続人間で争いが起きにくいように整理されることが多く、結果として相続トラブルの予防につながります。

公正証書遺言の作成手続き

公正証書遺言を作成するには、まず公証役場に依頼し、遺言の内容について打ち合わせを行います。その後、証人2人以上の立会いのもとで、公証人が遺言書を作成します。
遺言者はその内容を確認し、問題がなければ署名押印を行います。証人も同様に署名押印し、最後に公証人が署名押印することで、公正証書遺言が完成します。

なお、証人には誰でもなれるわけではなく、未成年者や相続人、受遺者などは証人になることができません。

また、公正証書遺言は原則として公証役場で作成されますが、遺言者が病気などで外出できない場合には、自宅や病院で作成することも可能です。

民法974条(証人及び立会人の欠格事由)
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
1. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
2. 未成年者
3. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

相続の観点からみた注意点

公正証書遺言は非常に優れた制度ですが、いくつかの注意点もあります。
まず、作成には費用がかかります。遺産の額に応じて手数料が決まるため、財産が多い場合はそれなりの費用になります。

また、証人が2人必要になるため、事前に準備が必要です。専門家に依頼することも多いですが、その分の費用も考慮する必要があります。

さらに、遺言の内容は公証人や証人に知られることになるため、完全な秘密性を保つことはできません。この点は、自筆証書遺言や秘密証書遺言との違いになります。

相続を考えた遺言の選択

相続対策として遺言を作成する場合、どの方式を選ぶかは非常に重要なポイントです。
公正証書遺言は、内容の正確性や手続きの確実性という点で優れており、相続を円滑に進めたい場合には有力な選択肢となります。一方で、費用や手間、プライバシーの問題などもあるため、自分の状況に合わせて検討することが大切です。

相続は家族に大きな影響を与える重要な手続きです。そのため、遺言を作成する際には「確実に実現されるか」という視点を持つことが重要です。公正証書遺言は、その点において非常に信頼性の高い方法といえるでしょう。

本記事作成美馬克康司法書士・行政書士

はじめての相続《民法解説》は、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。できるだけ最新の情報で掲載しておりますが、掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

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