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はじめての相続《民法解説》老老相続で見落とされやすい課題

高齢化が進む現在では、相続人自身も高齢者であるケースが珍しくありません。
このような相続は一般に「老老相続」と呼ばれています。手続き自体は問題なく終わることも多い一方で、その後に新たな問題が生じやすいという特徴があります。

手続きは順調でも安心とは限らない

老老相続では、相続人が配偶者だけ、あるいは家族間で話し合いがまとまりやすいことも多く、相続手続きは比較的円滑に進む傾向があります。

  • 遺産分割で大きな対立が起きない
  • 相続登記や名義変更が完了する
  • 預貯金の解約や払戻しも終わる

このように、必要な手続きが一通り済めば、相続は終わったように感じられるかもしれません。しかし、本当の課題はここからはじまることがあります。

問題は「次の相続」が近いこと

老老相続で最も意識しておきたいのは、次の相続までの期間が短くなりやすいという点です。財産を引き継いだ配偶者も高齢であるため、数年後、あるいはそれより早く再び相続が発生する可能性があります。

今回の相続だけを考えていると、その次の相続への備えが十分にできないまま、新たな手続きに直面することになりかねません。老老相続では、一度の相続だけではなく、その先まで見据える視点が重要になります。

老老相続ではこんな問題が起こりやすい

司法書士が現場でご相談を受けるなかでも、老老相続では次のようなケースを目にすることがあります。

  • 相続登記は終えたものの、不動産を売却する判断ができない
  • 施設への入所が必要になっても、財産の処分が進められない
  • 本人の意思確認が難しくなり、手続きが滞ってしまう

また、配偶者が亡くなった後の相続では、子どもだけでなく孫や兄弟姉妹など、相続人の範囲が広がることもあります。最初の相続では問題がなくても、その次の相続で話し合いが複雑になるケースは少なくありません。

判断能力の低下も大きなリスクになる

老老相続では、相続後の生活だけでなく、判断能力の変化についても考えておく必要があります。相続した当初は元気でも、年齢を重ねるにつれて判断能力が低下したり、認知症を発症したりする可能性は誰にでもあります。

そのような状態になると、以下のような問題が生じることがあります。

  • 不動産を売却するかどうか判断できない
  • 新たに遺言書を作成できない
  • 財産の管理や処分について意思表示ができない

家族であっても、本人に代わって自由に財産を処分できるわけではありません。

老老相続は次の世代まで考えることが大切

相続は、一つの手続きを終えれば終わりというものではありません。高齢者同士の相続では、その後の生活や判断能力、さらに次の相続まで見据えて準備を進めることが重要になります。

今回の相続だけに目を向けるのではなく、「その財産を誰がどのように引き継いでいくのか」という将来まで考えておくことで、家族の負担を大きく減らすことにつながります。老老相続は、高齢社会だからこそ増えている相続のかたちです。その特徴を理解し、先を見据えた備えを行うことが、これからの相続には欠かせないといえるでしょう。

本記事作成美馬克康司法書士・行政書士

はじめての相続《民法解説》は、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。できるだけ最新の情報で掲載しておりますが、掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

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