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相続人全員の参加が必要となる遺産分割協議

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はじめての相続《民法解説》相続人全員の参加が必要となる遺産分割協議

相続が発生すると、亡くなった人の財産を誰がどのように取得するのかを決めるために、遺産分割協議を行うことがあります。

しかし、遺産分割協議は単に相続人が集まって話し合えばよいというものではありません。法律上、協議に参加しなければならない人が決まっており、参加すべき人が欠けたまま作成された遺産分割協議書は、無効となるおそれがあります。

遺産分割協議は相続人全員で行うのが原則

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いです。
民法では、共同相続人がいる場合、遺産は相続開始と同時に相続人全員の共有状態になるとされています。そのため、誰がどの財産を取得するかを決めるには、原則として相続人全員の参加が必要です。

たとえば、相続人が配偶者と子ども3人であれば、4人全員が協議に参加しなければなりません。
兄弟のうち一人とは連絡を取っていない、遠方に住んでいるから署名だけもらえばよい、というような事情があったとしても、正式な協議には全員の関与が必要です。
相続人の一人を除外して作成した遺産分割協議書は、原則として無効となります。

遺産分割協議に参加するのは相続人だけではない

遺産分割協議に参加できるのは、必ずしも法定相続人だけではありません。

代表的な例として、包括受遺者があります。包括受遺者とは、「全財産の3分の1を遺贈する」「財産の半分を遺贈する」といったかたちで、割合を指定して遺贈を受ける人のことです。
包括受遺者は、法律上、相続人とほぼ同じ立場になります。そのため、遺産分割協議にも参加することになります。

また、相続分を譲り受けた人がいる場合には、その譲受人が協議に参加することがあります。

さらに、相続が続けて発生する数次相続の場合には、それぞれの相続人全員が関与しなければならないこともあります。

未成年者が相続人の場合

相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者自身が単独で遺産分割協議を行うことはできません。この場合は親権者などの法定代理人が代わりに協議へ参加します。

ただし、親と子がともに相続人である場合には注意が必要です。
たとえば父親が亡くなり、母親と未成年の子どもが相続人になったケースでは、母親が自分自身の相続分と子どもの相続分の両方について決定すると利益相反の問題が生じます。

そのため、このような利益相反が生じる場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任し、その特別代理人が未成年者を代理して協議に参加します。

判断能力が不十分な相続人がいる場合

相続人のなかに認知症などで判断能力が不十分な方がいる場合にも、本人が単独で有効な遺産分割協議を行うことはできません。このような場合には成年後見制度の利用が必要になることがあります。

成年後見人が選任されている場合は、その成年後見人が本人に代わって協議へ参加します。
認知症の相続人がいるにもかかわらず適切な代理人を立てずに遺産分割協議を進めると、のちに協議そのものが無効と判断される可能性があります。

胎児も相続人になることがある

相続開始時にまだ生まれていない子どもであっても、胎児は相続についてはすでに生まれたものとみなされます。そのため、胎児にも相続権があります。

たとえば、父親が亡くなった時点で母親が妊娠していた場合、その子どもは将来生まれれば相続人となります。
胎児がいる場合には、その存在を無視して遺産分割協議を進めることはできません。

もっとも、胎児が出生する前は相続関係が確定していないため、通常は出生後に遺産分割協議を行うことになります。

相続人が行方不明の場合

相続人の一人が長年、行方不明になっているケースもあります。しかし、行方不明だからといって、その人を除外して遺産分割協議を行うことはできません。
このような場合には、家庭裁判所へ申し立てて不在者財産管理人を選任してもらいます。

さらに、遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所から権限外行為の許可を受ける必要があります。
選任された不在者財産管理人が、行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することで、初めて有効な協議を行うことができます。

行方不明者がいる相続では、通常の相続手続よりも時間がかかることが多いです。

遺産分割協議書を作成する前の確認

遺産分割協議で最も多いトラブルの一つが、本来参加すべき人が参加していなかったというケースです。
相続人の調査が不十分だったり、包括受遺者の存在を見落としていたりすると、のちに協議のやり直しが必要になることがあります。

特に次のようなケースでは注意が必要です。

  • 相続人に未成年者がいる
  • 相続人に認知症の方がいる
  • 行方不明者がいる
  • 胎児がいる
  • 遺言書に包括遺贈の記載がある
  • 数次相続が発生している

遺産分割協議は、一度作成すれば終わりというものではありません。参加者に問題があると、不動産の相続登記や預貯金の解約手続にも影響します。
そのため、まずは誰が当事者になるのかを正確に確認したうえで、協議を進めなければなりません。

本記事作成美馬克康司法書士・行政書士

はじめての相続《民法解説》は、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。できるだけ最新の情報で掲載しておりますが、掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

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